消費税における非課税の住宅貸付および仕入税額控除

住宅の貸付けは非課税

住宅の貸付け事業は消費税の非課税事業です。住宅とは人の居住の用に供する家屋をいいます。しかし、人の居住の用に供する家屋であっても必ずしも居住の用にのみ利用するとは限りません。非課税とされる住宅の貸付け事業は、家屋を居住用にのみ利用することを賃貸借契約において明確にしている場合に限られます。契約表示主義です。

ただし、居住の用にのみ利用するものであっても住宅賃貸期間が一月に満たない場合、貸付けが旅館施設の貸付けに該当する場合など、一時的使用の性格の強いものは除かれます。

なお、住宅用家屋の賃貸において賃借人が自ら使用しないで転貸を前提にするとの契約の場合においても、転貸先が居住の用にのみ利用することとしている時には、適用の範囲を拡げて転貸前提の借主に対する賃貸は、非課税とされる住宅の貸付けに該当すると消費税通達で示しています。

従って不動産管理会社への貸付けにおいて、その不動産管理会社に対して、転貸先を居住用にのみ供する貸付けに限定するとの制約を付さない契約となっている場合には、非課税の要件を満たさないこととなり、消費税が課税されます。即ち居住用非限定は課税です。逆に住宅の取得後、不動産管理会社に賃貸する際、転貸先が居住用に限定されない契約になっていると貸主側の住宅の取得に係る消費税が控除可能になります。即ち居住用非限定は控除可能です。

税制改正

令和元年年1212日に公表された令和2年度税制改正大綱において、居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度等の見直しとして、住宅の貸付けに係る契約において用途が明らかにされていない場合であっても、当該貸付けの用に供する建物の状況等から人の居住の用に供することが明らかな貸付けについては、消費税は非課税とされることになります。契約書表示主義の形式主義を廃して、実質主義に転換することになります。

なお、適用時期については令和2年41日以後に行われる貸付けにおいて適用されます。

考察

実質主義への転換の結果、仕入税額控除制度の適用が出来るのは住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物に限ると改めるようです。契約書上で居住用非限定なら税額控除可能だったという範囲を狭め、実質判定で非居住用限定との基準にしようとしています。

なお、実質判断を行う上での具体的な判断基準などの情報についての公表はされておりません。今後の動向を見守っていく必要があると考えられます。

 

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