電子帳簿保存法の改正について

電子帳簿保存法

経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上、記帳水準の向上等に資するため、令和3年度の税制改正において「電子帳簿保存法」が改正され、令和411日から施行されました。電子帳簿保存法は、原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類について一定の要件を満たした上で電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすること及び電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めています。

電子帳簿等保存に関する改正

電子帳簿等保存に関する改正として、①税務署長の事前承認制度を廃止する、②優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置を整備する、➂最低限の要件を満たす電子帳簿についても、電磁的記録による保存等を可能とする、改正が行われました。

スキャナ保存に関する改正

スキャナ保存に関する改正として、①税務署長の事前承認制度を廃止する、②タイムスタンプ要件、検索要件等について、緩和する、➂適正事務処理要件を廃止する、④スキャナ保存された電磁的記録に関連した不正があった場合の重加算税の加重措置を整備する、改正が行われました。

電子取引に関する改正

電子取引に関する改正として、①タイムスタンプ要件及び検索要件について緩和する、②適正な保存を担保する措置の見直しをする、改正が行われました。

中小・零細企業への影響

従来は、帳簿書類をすべて紙ベースで保存していた中小・零細企業や個人事業者についても、今回の改正は大きな影響があります。それは、申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、その電磁的記録の出力書面等(紙ベース)の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置が廃止された点です。(消費税における電子取引の取引情報等に係る電磁的記録については、引き続き出力書面による保存が可能です。)たとえば、電子メール添付の請求書、領収証等について、プリントアウトして紙ベースでの保存は認められず、電子データとしての保存が義務づけられました。

電子取引の保存要件1

電子取引データ保存に当たっての真実性の要件として、4つのうちいずれかの措置が必要となりますが、中小・零細企業にとって現実的なのは、「正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定め、その規程に沿った運用を行う」ことになるでしょう。

電子取引の保存要件2

電子取引データ保存に当たっての可視性の要件として、パソコン等を設置したうえで、検索機能を確保することが必要となります。

なお、基準期間の売上高が1000万円以下の小規模な事業者について、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索機能の確保は不要です。

2年間の宥恕措置

令和4年度税制改正大綱」において改正電帳法における電子保存の義務化に令和5年12月31日まで2年間の宥恕措置が盛り込まれた。これは中小企業の対応の遅れなどを考慮したものといえます。

電子化することで事務作業等の効率化を期待できる面もありますが、小規模な事業者などは容易に対応することが難しいことが予測できますので2年間の猶予は妥当な決定といえるでしょう。

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