消費税法上の軽減税率における飲食料品の範囲
軽減税率制度
令和元年10月1日より消費税の軽減税率制度が施行されましたが、ここでは、軽減税率の対象となる飲食料品の譲渡について、あらためて確認します。
飲食料品の定義
軽減税率の対象となる飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く)をいい、食品とは、人の飲用または食用に供されるものをいいます。飲食料品を販売する際に使用する包装材料や容器についても、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、軽減税率の対象となる飲食料品の範囲に含まれます。
工業用として販売される塩など、人の飲用または食用以外の用途で販売されるものは飲食料品に該当しません。医薬品、医薬部外品、再生医療等製品も飲食料品に含まれません。
一体資産
食品と食品以外の資産が一体として販売されるもの(あらかじめ一の資産を形成し、または構成しているものであって、その一の資産に係る価格のみが提示されているもの)のうち、税抜価格が1万円以下であって、食品に係る部分の価額の占める割合が3分の2以上のものについては、全体が軽減税率の対象となる飲食料品に含まれることになります。
食品の価額の占める割合を算定する場合、例えば、次のような合理的な方法により計算した割合で判断します。
(1)一体資産の販売に係る原価のうち食品の原価の占める割合で判定
(2)一体資産を仕入れてそのまま販売しており、仕入先が適用した税率で判定
飲食店等での外食等
飲食料品のテイクアウト販売は軽減税率の対象となりますが、飲食店や喫茶店での外食(店内等での飲食物の提供)、ケータリング(相手方の指定した場所において行う加熱、調理または給仕等の役務を伴う飲食料品の提供)は軽減税率の対象にはなりません。
店内飲食とテイクアウト販売の区分
店内飲食とテイクアウト販売の両方を行っている飲食店等において飲食料品を提供する場合には、そのどちらに該当するかは、事業者が飲食料品の譲渡等を行う時に判断することになります。
一般的には、注文等の時点において、顧客に店内飲食(標準税率)かテイクアウト販売(持ち帰り、軽減税率)かの意思確認を行うなどの方法によって軽減税率の適用の有無を判断することになります。
酒類
酒税法に規定する酒類は、軽減税率の適用対象である飲食料品から除かれていますので、軽減税率の対象になりません。
酒税法に規定されているかどうかがポイントになりますので、酒税法に規定するみりんの販売は、軽減税率の適用対象となりませんが、みりん風調味料(アルコール分が一度未満のもの)については、酒税法に規定する酒類に該当しないため、飲食料品として軽減税率の対象となり、ノンアルコールビールや甘酒など酒税法に規定する酒類に該当しない飲料についても軽減税率の対象となります。
栄養ドリンク等
医薬品等に該当する栄養ドリンクは軽減税率の対象となりませんが、医薬品等に該当しない栄養ドリンクは、食品として軽減税率の対象となります。
また、人の飲用または食用に供される特定保健用食品、栄養機能食品は、医薬品等に該当しませんので、食品として軽減税率の対象となります。
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