事業所得および業務に係る雑所得の区分

基本的な考え方

事業所得及び雑所得の金額は、どちらも総収入金額から必要経費を控除した金額とされていて、基本的な計算構造が同じです。両者には、必要経費の参入時期や範囲など、次のような相違点があり、その結果、最終的に納付すべき税額が大きく異なります。

事業所得と雑所得の主な取扱いの相違点

事業所得と雑所得の主な取扱いの相違点については、資産損失、貸倒損失、損益通算、事業専従者給与、青色申告(特別)控除があります。

資産損失については、事業所得では必要経費算入可、雑所得では所得金額を限度に算入可。

貸倒損失については、事業所得では発生した年分の必要経費、雑所得では売上に計上した年分にさかのぼって修正できます。

損益通算については、事業所得では適用可、雑所得では適用不可です。

事業専従者給与については、事業所得では必要経費算入可、雑所得では算入不可です。

青色申告(特別)控除は、事業所得では適用可、雑所得では適用不可です。

事業所得と雑所得の区分

事業所得と業務に係る雑所得については、その所得を得るための活動の規模によって判定され、その活動が事業的規模である場合には事業所得に、事業的規模でない場合には業務に係る雑所得に区分されることになりますが、サラリーマンのいわゆる副業やシェアリングエコノミーなど、その区分が問題となることも増えています。

所得税法上の定義

所得税法で、「事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。」とされています。また、「雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。」とされています。

社会通念による判定

その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかについて、最高裁の昭和56424日の判決では、「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」としています。

登録番号等の通知

税務署による審査を経て、適格請求書発行事業者として登録された場合には、登録番号(T+13桁の数字、法人の場合は法人番号) などの通知が行われます。

通達改正

令和4107日に所得税法基本通達の「35-2 (業務に係る雑所得の例示)」が改正され、事業所得として認められるかどうかの判定の考え方として、次の() が追加されています。

事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。

なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。

帳簿要件

この改正では、その所得に係る取引を帳簿書類に記録し、かつ、記録した帳簿書類を保存している場合には、その所得を得る活動について、一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を有し、社会通念での判定において、事業所得に区分される場合が多いと考えられるとしていますが、帳簿書類を保存している場合であっても、次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断するとしています。

①所得の収入が僅少と認められる場合

②その所得を得る活動に営利性が認められない場合。また、その所得を得るための活動が、収入金額300 万円を超えるような規模で行っている場合には、帳簿書類の保存がない事実のみで、所得区分を判定しないで、事業所得と認められる事実がある場合には、事業所得と取り扱うこととしています。

無料相談受付中

お電話でのお問い合わせ (代表)03-3279-2820 電話受付:平日9:00~17:30

対応エリア

中央区日本橋、江戸川区を中心とした近隣エリア
ページトップへ

お電話でのお問い合わせ (代表)03-3279-2820 電話受付:平日9:00~17:30