寄附金の範囲および損金算入の限度額
寄附金の取扱い
法人税法においては、その性質上、直接には反対給付のない寄附金については、一定の範囲しか損金の額に算入されないこととされています。ここでは、寄附金の範囲と損金算入限度について確認していきましょう。
寄附金の範囲
法人税法における寄附金とは、金銭、物品その他経済的利益の贈与または無償の供与をいい、一般的には寄附金、拠出金、見舞金などと呼ばれることが多く、社会通念上の寄附金より範囲が広くなっています。
ただし、経済的利益の贈与または無償の供与であっても、法人の事業遂行と直接関係があると認められる交際費等、広告宣伝費、福利厚生費などは除かれます。
なお、社会事業団体、政治団体に対する拠金、神社の祭礼等の寄贈金のように事業に直接関係のない者に対する金銭贈与は、原則として寄附金になります。
寄附金の損金算入限度額
一般の寄附金の損金算入限度額は、次の(①+②)×1÷4の金額となっています。
①期末資本金等の額×当期の月数÷12×5÷1000
②当期の所得金額×5÷100
国または地方公共団体に対する寄附金等
国または地方公共団体に対する寄附金、財務大臣が指定した公益法人等に対する寄附金(指定寄附金)については、一定の場合を除いてその全額が損金の額に算入されます。
特定公益増進法人に対する寄附金
特定公益増進法人に対して、その主たる目的である業務に関連する寄附金を支出した場合には、一般の寄附金とは別枠で特別損金算入限度額の範囲内の金額は、損金の額に算入されます。特別損金算入限度額は、次の(①+②)×1÷2の金額となっています。
①期末資本金等の額×当期の月数÷12×75÷1000
②当期の所得金額×25÷100
なお、特定公益増進法人とは、公共法人、公益法人等のうち、教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する独立行政法人、地方独立行政法人、自動車安全運転センター、日本赤十字社、公益社団法人・公益財団法人、学校法人、社会福祉法人などをいいます。
認定NPO法人等に対する寄附金
認定NPO法人等に対してその特定非営利活動に係る事業に関連する寄附金を支出した場合には、一般の寄附金とは別枠で、特定公益増進法人に対する寄附金と合わせて、特別損金算入限度額の範囲内の金額は、損金の額に算入されます。
なお、特定公益増進法人に対する寄附金、認定NPO法人等に対する寄附金の額のうち特別損金算入限度額を超える部分の金額は、一般の寄附金の損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入されます。
国外関連者に対する寄附金
その法人の国外関連者に対する寄附金については、損金の額に算入されません。
損金算入時期
寄附金の損金算入時期は、実際に支出した事業年度となります。現金主義による計上が必要となり、未払計上は認められません。